2020/Public
場所は大阪市西成区。
障害者施設の新築移転工事。重い知的障害と重い身体障害が重複する重症心身障害者の日々は、経管栄養や入浴、トイレが多くの時間を占め、その施設は地域と隔絶した“病院化”するケースが多い。
自身に関わる人間との時間がすべてケアによって占められる現状を打破するためには、施設を地域に“解放”し、施設と地域がシームレスに一体化する必要がある。地域と隔絶した土地ではなく、日常的に人が行き交う駅舎前に施設を建設し、駅舎と施設をアート作品によって結び付けて一体化。
さらにショップ・カフェを通じ、地域から施設への“侵入”を容易にすることによって、その視線は商品からその先に在る重症心身障害者へと自然に注がれることとなる。
浴室やプレイルームといった生活スペースからショップ・カフェへは、全面設置の「天井走行リフト」によってスムーズな移動を可能とし、地域と重症心身障害者が交流を図る導火線として機能する。