2024/public
訪問看護会社の新たなオフィスをつくる計画です。
場所は飲食店が立ち並ぶ西九条駅前の賑わいを離れた住宅地の一角。
町工場などの倉庫が点在するエリアにあります。
計画地にも自動車整備工場として使われていた約100㎡程の古い倉庫が残されており、
限られた予算の中、この大らかな気積をもつ既存倉庫の活用を考案しました。
穴が空いて雨風が入る状態であった屋根を透明のポリカーボネートで塞ぎ、
道路に面した大きな開口部にはビニールカーテンを設置、こうすることで
外の殻(倉庫)に建築物としての雨風を防ぐという役割を任せ、間仕切のみ
で自在に空間を構築できる内部をつくりました。
また、クライアントの要望である ” 街に開かれたオフィス ” を実現するため、内部
空間は単なる壁で間仕切るのではなく、軸組木造とすることで倉庫内に新たな
街をつくり出すイメージで計画に挑みました。
内部空間の仕上げは防水性が必要な所を除き、全てが構造用合板仕上げとなって
います。ラフだけど耐久性があり強度も十分な構造用合板を用いることで
内部でありながら、街にオープンな立体的な小都市をイメージしました。
必要最低限の内部空間の他、路面のオープンスペースや屋根上のテラスなど、
内外が曖昧な倉庫内の半屋外エリアは、人の流れを誘発する効果が期待できます。
あえて仕上げを施さないことで、将来的な自由度や空間のインパクトを得ながら
圧倒的ローコストで実現することができました。