2024/public
二軒町屋の一つを宿泊施設(町屋ホテルyanagi)へとリノベーションしたのが6年前の2018年。
現在も満室稼働している。このタイミングでもう片方にも空きが出たため施設を増床することになりました。
この計画では施設としての多様性や、現施設のリピーターなど多くの人に楽しんで貰うことを目指し、
現施設とはあえて全く別の空間づくりをしています。
古くから京町屋には、玄関から炊事場・勝手口までをつなぐ「通り土間」が設けられていました。
土足でそのまま出入りできる土間空間は居住空間の中にありながら、内でも外でもない独特の雰囲気があり、
それが京町屋の特徴の一つでもあると思います。
この古き良き日本の風景を再現するため、1階レベルをレンガ敷きの広い通り土間とすることで、
通りから奥の庭まで高低差のない一体空間として計画しました。内外部がシームレスにつながりを持ち、
フロアには水屋や居間、食事場などの各スペースが点在します。
また、高低差がないため車椅子利用者にも優しいユニバーサル対応となっています。
2階は畳敷の寝室が2部屋、真ん中には天窓とシンボリックな提灯に照らされたホールがあり、
残された古い土壁が吹抜を通じ、上下階をつなぎます。
風土を感じ、京都の文化に触れる、この宿が観光客にとって起点の場所になればと願っています。